農業大国イギリス#
蒸気機関の発達など,工業大国で会ったはずのイギリス. 2015年9月において、総就業者数3374.4万人のうち、製造業は264.8万人であって、7.8%にすぎない,そうだ.
今となってはそれほど農業機械の製造業者は多くない印象であるが,農業も同じように就業人口はとても少ない.
総人工の約1% と少ない就業者人口であるが,機械化により効率的に経営をしているようだ.
ではそれを支える農業機械といえば,アメリカ,ドイツのトラクターメーカーが多いが,一方で,作業機械については独自の文化が,農業機械については多い.
耕起作業機や防除機を中心に,独特なイギリスの農業機械文化をまとめていく.
メーカーと主要製品#
もともと,リンカンシャー(Kincolnshire)に存在した,土耕機械の会社.とても独創的. 2002 年に幕別の箕浦さんが,帯広の農機展で会った人にカタログを送ってもらうようにと頼んだのが,一覧として存在している.
Great plains に結局買収されたのだけれど,その中でも結構独創的なのは,DD ring(DDR)と呼ばれるローラーである.
Great plains のカタログの一部は残っていたのだが,結局現在(2026年5月13日)は残っていない.
ではDDリングはどこに行ったのかというと,1991創業で,2009年くらいからYork のメルボルンにある,SUMOという会社で使っていそうだけど,MULTIPACKAというものは違うようだ.
GPT曰く,「SIMBAは、1976年にKeith Burtonが英国LincolnshireのSleafordで始めた耕うん機メーカーで、もともとはアフリカでの農業経験を背景に、重い条件でも使えるディスク、ツールバー、リッパー類から発展したメーカーでした。
転機は2010年です。SIMBAはドイツHorsch製ドリル類の英国・欧州販売も担っていましたが、Horschが自社ブランド販売へ移行したことで、SIMBAは播種機ラインを失うリスクを抱えました。
Farmers Weeklyの記事では、Horsch製品がSIMBAの売上の約25%を占めていたとされ、別記事でも「Horschが2010年に自社名で販売する方針を取ったため、ドリルメーカーとの提携が急務になった」と説明されています。
その結果、2010年4月30日にGreat PlainsがSIMBA International Ltd.の株式100%を取得しました。買収直後は、Sleaford工場の生産継続、SIMBA製耕うん機のGreat Plainsブランド化、Great Plains製品の欧州展開などが予定されていました。公的資料を見ると、SIMBA International Ltd.は2013年にGREAT PLAINS UK LTDへ名称変更され、その法人は2019年6月25日に解散しています。
別法人のSIMBA MACHINERY LIMITEDも2013年に解散しています。
したがって、少なくとも公開情報上は「SIMBAが突然倒産した」というより、Great Plainsへの買収後、ブランド・法人・工場が段階的に整理されたと見るのが正確だと思います。
Google Patents上では**GB2323511B “A press ring for an agricultural machine”**として確認できます。発明者はPhilip John WrightとAdrian Richard Hartley、譲受人はSIMBA International Ltd.で、優先日は1997年6月26日、出願は1998年4月8日、特許は20年満了で2018年4月7日に失効しています。 」
ということで,DDRは現在は市販の農業機械には付帯していないということになる.
DDRとはなんだったのか.#
DD REAR ROLLER - The rear DD roller with shouldered press rings, consolidates the ground through to depth and leaves a ridged, weatherproof seedbed that is ready for drilling or can be left to weather over the winter. SLD 300 and 350 models come with the option of either the DD600 or DD700.
All other models come with the DD700 as standard. Proven one-piece scrapers are fitted as standard. All rollers feature sealed-for-life ‘non-grease’ bearings.
- DD Effect
Manufactured from the highest quality Chrome Boron steel, the rings have a self-sharpening cutting edge mounted on a broad, carefully angled shoulder.
This enables them to cut clods effectively, crushing the parted halves so they disintegrate, while also contacting over 80% of the soil surface so they consolidate and level the seedbed, leaving a ridged, weather-proof surface.
The relationship between DD ring spacing, diameter and width optimises soil consolidation.
The DD roller achieves a weatherproof surface which maintains soil moisture in dry conditions and allows good drainage in wet conditions, thus avoiding soil erosion.
Clods are cut and fissures propagate through a result of the DD action, Broken or cracked clods are left in an ideal state for further weathering.
Ideal for mounted machines on lower hp tractors, the DD Lite is available in 550mm and 600mm diameters. Lighter in weight, the DD Lite shares the same unique features of the DD Ring including the unique axle tensioning system with steel spacers between the rings, which allows the roller to ‘self-adjust’ as it wears, maintaining its effectiveness.
Sumo#
このメーカーはなんなのか.魅力的な機械をいっぱい作っている. 日本の住宅メーカーSuumoとは違う.
会社概要#
SUMO はイングランド北部,ヨーク近郊の Melbourne, York に拠点を置くイギリスの農業機械メーカーである.
公式サイトでは,1991 年に創業し,2001 年に代表機の Trio を発売,2009 年に現在の拠点へ移転したとしている.
現在の主力は,耕起・砕土・播種を中心とした British-built の作業機であり,特に soil health を重視した Conservation Agriculture を前面に出しているのが特徴である. 単に深く起こすだけではなく,
- 踏圧で締まった層の解消
- 表層残渣を活かした低撹乱体系
- 排水性と根張りの改善
- 作業回数の削減による燃料・コスト低減
といった考え方で機械体系を組んでいる.
イギリスらしい「土を切り,砕き,締め,次工程までつなげる」思想が強いメーカーである.
特徴的な機械#
Trio#
SUMO を代表する機械.
one-pass combination cultivator とされ,1 工程で
- 深部の破砕
- 土の混和
- 表層の整地
をまとめて行うのが特徴である. 作業深さは 400mm 級で,プラウ体系から min-till へ移行したい圃場に向けた基幹機の位置づけである. 必要に応じてシーダーや SDO を追加し,1 パス播種体系にも拡張できるらしい.
Quatro#
Trio をさらに残渣対応寄りにしたような深耕用コンビネーションカルチである.
公式には,深部破砕,混和,整地を 1 工程で行いながら,extra mixing and chopping に強い機械として紹介されている.
被覆作物後や残渣量の多い圃場,全層をしっかりリセットしたい条件に向く機械である.
Mixidisc / S#
高速浅耕ディスクカルチベータ. 30-100mm 程度の浅い層を高速で処理し,収穫後の残渣混和,雑草発生の促進,播種前の整地を効率よく行うタイプである. 「浅く速く,しかししっかり全幅で効かせる」方向の機械である.
DTS²#
Deep Tillage Seeder. SUMO はこれを strip-till drilling の考え方で説明しており,播種条の下だけを狙って耕しつつ播種する機械である. 深さ 250mm 級まで局所的に耕して排水性と通気性を確保しながら,全面耕起を避けて作業回数を減らせる点が面白い. 保全耕起と播種の折衷ではなく,「必要な場所だけ深く触る」設計思想がはっきりしている.
DD#
ダイレクトドリル. cover crop や stubble の残る圃場に対して,土を大きく乱さずに播種する zero-till / reduced-till 向けの機械である. 低撹乱オープナー,残渣処理,鎮圧輪,油圧深度調整を組み合わせ,乾燥時の水分保持や土壌侵食の低減を狙っている.
Rippa#
より単純明快な深層破砕機で,局所的な compaction relief に振った機械である. 全面を大きく反転するというより,土の構造を残しながら通気と排水のための割れ目を入れる方向の深耕機と理解しやすい.
ひとまずの印象#
SUMO は,古典的な全面耕起機メーカーというより,
- 深耕
- 浅耕
- 条播種
- 低撹乱播種
を一続きの体系として持っている点が面白い. イギリスの reduced tillage / conservation agriculture 文脈で重要なメーカーの一つとして見てよさそうである.