ジャガイモと虫
インスタを見てるとよく出てくるこんな機械
そういえば、DLMでも風で虫をはたき落として回収する機械があったはずだ。
Käfersammler Kartoffel と検索すると、色々出てくる。
schneller povetec
のcolorado potato beetle collector guinea fowl
これもはたき落とすタイプの機械である。
Gallinger maschinenbau が製造基
ここが製造基のようで、複数種類の機械があるようだ。chatGPTにまとめてもらおう。
Gallinger Maschinenbau の機械まとめ
対象ページ:https://www.gallinger-maschinenbau.de/
1. 全体像
Gallinger Maschinenbau GmbH の主な機械は、ジャガイモの害虫であるコロラドハムシ(Colorado potato beetle / Kartoffelkäfer)とその幼虫を、農薬ではなく機械的に捕集して除去する装置です。
同社の代表的な機械は Beetle Collector と呼ばれ、ドイツ語では Kartoffelkäfer Sammler Gallinger、略称として KSG / HKSG が使われています。
この機械は、特に有機栽培や減農薬栽培において、コロラドハムシ防除の省力化を目的とした機械と考えられます。
2. 掲載されている機械の種類
| 機械名 | 形式 | 対象規模 | 作業条数 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Beetle Collector KSG 2 | トラクター装着式 | 小〜中規模圃場 | 2条 | 2条のジャガイモ畝を同時に処理 |
| Beetle Collector KSG 4 | トラクター装着式 | 中〜大規模圃場 | 4条 | 4条処理、作業能率が高い |
| Beetle Collector HKSG | 手押し式 | 小面積・家庭菜園・CSA・試験圃場 | 1条 | 電動ドリルでパドルを駆動 |
| HKSG-E | HKSGの補助駆動仕様 | 小面積 | 1条 | 電動車輪による押し歩き補助 |
| HKSG-VE | 完全電動式 | 小面積 | 1条 | ドリル不要、捕集駆動と走行補助を電動化 |
3. 作動原理
3.1 基本原理
Beetle Collector の基本原理は、ジャガイモの茎葉を機械的に揺さぶり、葉や茎に付着しているコロラドハムシの成虫・幼虫を落下または飛散させ、下部の容器で回収するというものです。
簡単に表すと、以下のような流れです。
ジャガイモの茎葉にパドルが接触
↓
茎葉が左右に揺さぶられる
↓
成虫・幼虫が落下、または衝突布側へ飛ばされる
↓
下部の捕集容器・受け皿に入る
↓
圃場外へ持ち出して害虫密度を下げる
3.2 機械的な特徴
トラクター装着式の KSG では、ジャガイモの畝をまたぐように機械を走行させ、畝の左右からパドル付きロータが茎葉に作用します。
主な特徴は以下の通りです。
- パドルまたはラッパーが茎葉に接触する
- 茎葉を左右に強く揺さぶる
- 成虫や幼虫を株から落とす
- 落下した虫を下部の受け皿・容器で回収する
- 回収した虫を圃場外へ排出できる
この方式は、薬剤で殺虫するのではなく、害虫個体を物理的に圃場から取り除く点に特徴があります。
4. 各機械の概要
4.1 Beetle Collector KSG 2
KSG 2 は、2条処理用のトラクター装着式機械です。ジャガイモ2畝分を同時に処理できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作業条数 | 2条 |
| 装着方式 | 3点リンクおよびEuro取付 |
| 必要油圧 | 複動油圧1系統 |
| 調整項目 | 回転数、条間、作業高さ |
| 自重 | 約540 kg |
KSG 2 は、比較的小〜中規模の圃場で、手作業による捕殺を省力化するための機械と考えられます。
4.2 Beetle Collector KSG 4
KSG 4 は、4条処理用の大型タイプです。基本原理は KSG 2 と同じですが、同時に4畝を処理できるため、作業能率が高くなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作業条数 | 4条 |
| 装着方式 | 3点リンクおよびEuro取付 |
| 必要油圧 | 複動油圧1系統 |
| 調整項目 | 回転数、条間、作業高さ |
| 排出機構 | 捕集容器を傾けて排出可能な仕様あり |
| 輸送時 | 外側容器を折りたたみ、全幅3 m未満に対応 |
| 自重 | 約795〜930 kg、仕様による |
KSG 4 は、比較的大きな有機ジャガイモ圃場や、営農規模でのコロラドハムシ防除を想定した機械といえます。
4.3 Beetle Collector HKSG
HKSG は、1条用の手押し式 Beetle Collector です。家庭菜園、小規模有機圃場、CSA、試験圃場などでの利用に向いています。
特徴的なのは、パドルの駆動に一般的な充電式ドリルを利用できる点です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作業条数 | 1条 |
| 走行方式 | 手押し |
| パドル駆動 | 13 mmチャックの充電式ドリル |
| ハンドル | 高さ調整可能 |
| 輸送性 | 車輪着脱、ハンドル折りたたみ可能 |
| 回転数 | 無段階調整 |
| 自重 | 約26.5 kg |
HKSG は、トラクターを使うほどではない小面積で、手作業による捕殺を効率化するための機械と考えられます。
4.4 HKSG-E
HKSG-E は、HKSG に電動車輪駆動を追加した仕様です。
通常の HKSG では、人が押しながらパドルを回転させる必要がありますが、HKSG-E では電動車輪による走行補助が加わります。これにより、作業者の身体的負担を減らすことができます。
主な効果は以下の通りです。
- 手押し作業の負担軽減
- 一定速度での作業がしやすい
- 小面積圃場でも作業性が向上する
4.5 HKSG-VE
HKSG-VE は、完全電動式の手押し型です。
HKSG が「充電式ドリルでパドルを駆動する簡易型」であるのに対し、HKSG-VE は捕集駆動と走行補助を一体化した、より完成度の高い電動作業機と考えられます。
主な特徴は以下の通りです。
- 充電式ドリルが不要
- 捕集部の駆動を電動化
- 押し歩き補助を電動化
- 小規模圃場でも安定して作業しやすい
5. 効果
5.1 農薬を使わずに害虫密度を下げる
この機械の最大の効果は、コロラドハムシと幼虫を物理的に圃場から除去できることです。
そのため、有機栽培や減農薬栽培において、薬剤散布に代わる、または薬剤散布を補完する防除技術として利用できます。
5.2 初期世代を減らして増殖を抑える
コロラドハムシは、圃場内で世代を重ねて増殖します。そのため、初期段階で成虫や幼虫を除去できれば、後続世代の密度を下げられる可能性があります。
つまり、この機械の狙いは単に「今いる虫を取る」だけではなく、増殖サイクルを早い段階で抑えることにあります。
5.3 手作業の省力化
従来、コロラドハムシの有機的防除では、手で捕殺する方法も考えられます。しかし、圃場面積が大きくなると手作業では非常に大きな労力が必要になります。
Beetle Collector を使うことで、以下のような省力効果が期待できます。
- 手で虫を探して取る作業を減らせる
- 一定速度で圃場を処理できる
- 作業者の負担を軽減できる
- 大面積でも機械的に処理できる
6. 設定・運用上のポイント
6.1 調整できる条件
KSG では、圃場条件やジャガイモの生育状態に応じて、以下の条件を調整できます。
- ロータ高さ
- パドル回転数
- 条間
- 作業高さ
- 走行速度
これらの調整により、茎葉への作用の強さや、虫の落下・捕集効率が変化します。
6.2 回転数と走行速度
作業効果は、パドル回転数と走行速度の組み合わせに左右されます。
一般的には、以下のような関係が考えられます。
- 回転数が低すぎると、茎葉への揺さぶりが弱くなる
- 回転数が高すぎると、茎葉への損傷や益虫混入が増える可能性がある
- 走行速度が速すぎると、1株あたりの作用時間が短くなる
- 走行速度が遅すぎても、必ずしも効率が最大になるとは限らない
したがって、圃場条件、品種、茎葉量、害虫発生状況に応じた調整が重要です。
7. 留意点・課題
7.1 益虫などの混入
Beetle Collector は、コロラドハムシだけを識別して捕集する機械ではありません。
茎葉上にいる他の昆虫も一緒に落下・捕集される可能性があります。特に、テントウムシなどの益虫が混入する可能性があります。
そのため、捕集率を高めることと、益虫混入を減らすことの間には、ある程度のトレードオフがあると考えられます。
7.2 ジャガイモ品種・茎葉構造への依存
捕集効果は、ジャガイモ品種の茎葉構造に左右されます。
例えば、以下のような条件では捕集されやすいと考えられます。
- 茎葉が比較的直立している
- 小葉が多く、パドルの振動が伝わりやすい
- 畝の形状と機械の受け皿が合っている
一方、以下の条件では効果が低下する可能性があります。
- 茎葉が大きく横に広がっている
- 茎葉が密で、虫が内部に隠れやすい
- 畝形状と捕集容器の位置が合っていない
- 虫が落下しても受け皿に入らない
7.3 落下した幼虫の再上昇
パドルで虫を落としても、すべてが捕集容器に入るとは限りません。
一部の幼虫が地面に落ちた場合、再びジャガイモ株に登る可能性があります。そのため、単に虫を落とすだけでなく、落下した虫を確実に捕集容器へ導く構造が重要です。
7.4 茎葉損傷の可能性
茎葉を強く揺さぶるため、条件によってはジャガイモの茎葉に損傷を与える可能性があります。
特に、以下のような場合には注意が必要です。
- パドル回転数が高すぎる
- 作業高さが低すぎる
- 走行速度が不適切
- 生育ステージに対して作用が強すぎる
実際の運用では、捕集効果と作物損傷のバランスを見ながら設定する必要があります。
8. 日本の農業機械・防除技術として見た意義
この機械は、日本のジャガイモ栽培にそのまま普及するかどうかは別として、技術的には非常に興味深い機械です。
特に重要なのは、以下の点です。
- 害虫防除を「散布」ではなく「物理的除去」として考えている
- 作物体を揺さぶることで害虫だけを落とそうとしている
- 有機栽培向けの防除機械として設計されている
- 小規模向けの手押し型から、大規模向けの4条型まで展開している
- 薬剤抵抗性や農薬削減の流れに対応した機械である
日本でも、有機栽培や減農薬栽培、環境保全型農業が重視される中で、こうした「機械的防除」の発想は参考になると考えられます。
9. まとめ
Gallinger Maschinenbau の Beetle Collector は、ジャガイモのコロラドハムシを対象とした、農薬を使わない機械的捕集装置です。
トラクター装着式の KSG 2 / KSG 4 と、小規模向け手押し式の HKSG / HKSG-E / HKSG-VE があり、圃場規模に応じて選択できます。
作動原理は、逆回転ロータに取り付けたパドルでジャガイモ茎葉を左右に揺さぶり、成虫・幼虫を落下または飛散させ、下部の捕集容器で回収するというものです。
条件が合えば高い捕集効果が期待できますが、茎葉構造、ロータ回転数、走行速度、益虫混入、落下幼虫の再上昇、作物損傷などを考慮した運用が必要です。
参考URL
-
Gallinger Maschinenbau GmbH
https://www.gallinger-maschinenbau.de/ -
FiBL Bericht: Kartoffelkäfer Käfersammeln 2023
https://www.gallinger-maschinenbau.de/FIBL/Bericht_Kartoffelkaefer_Kaefersammeln_2023.pdf
別なタイプ?
KartoffelKaferのような別なタイプの機械もあるようだ。 これこそ、DLMでみたものと同じか。
1. 背景
コロラドハムシは、ジャガイモの葉を食害する代表的害虫である。特に幼虫の食害量が大きく、有機栽培や減農薬栽培では防除が問題になる。
通常の化学農薬に頼らない方法として、以下のような機械的防除が考えられてきた。
- パドルで植物体を叩く・揺らす
- 植物体に触れて虫を落とす
- 送風で虫を吹き飛ばす
- 吸引で虫を吸い込む
- 落下した虫を受け皿で捕集する
- 落下した虫を圧殺または火炎処理する
このうち、本資料では風式・空気式の捕虫器を中心に整理する。
2. 風式捕虫器の基本原理
風式捕虫器は、強い空気流をジャガイモ茎葉に当て、葉や茎に付着しているコロラドハムシの成虫・幼虫を離脱させる機械である。
基本的な流れは次の通りである。
送風機・ブロワで強い気流を作る
↓
ジャガイモ茎葉へ横向き、斜め向き、または局所的に気流を当てる
↓
葉上のコロラドハムシ成虫・幼虫が吹き飛ばされる
↓
受け皿、吸引口、スクリーン、畝間などへ移動する
↓
捕集、圧殺、火炎処理などで圃場内の害虫密度を下げる
この方式は、作物に直接触れるパドル式に比べると、理屈上は植物体への接触が少ない。しかし、虫を葉から離すためにはかなり強い気流が必要になるため、葉の損傷、動力消費、捕集効率などが課題になる。
3. 方式の分類
風式といっても、実際にはいくつかの方式がある。
| 方式 | 原理 | 捕集・処理方法 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 送風+受け皿型 | 虫を株から吹き飛ばす | 皿・パンで受ける | 構造は比較的単純 |
| 送風+吸引型 | 虫を吹き飛ばした後、吸い込む | 捕集容器に集める | Bio-Collector 系 |
| 送風+スクリーン+圧殺型 | 虫を気流で飛ばしてスクリーンに当てる | 地面に落として車輪で圧殺 | Université Laval の研究機 |
| 送風+火炎処理型 | 虫を気流で落とす | 地表でプロパン火炎処理 | Urmia University の研究機 |
| 吸引型 | 虫を直接吸い込む | 容器・フィルターに回収 | 大型掃除機に近い考え方 |
4. 代表的なメーカー・事例
4.1 Paartal Biohof の Absammelgerät
ドイツの Paartal Biohof のジャガイモ栽培紹介ページには、コロラドハムシが多発した場合、Absammelgerät、つまり捕集装置で圃場から取り除けると記載されている。
説明では、この機械は「ハムシと、特に食害量の大きい幼虫をジャガイモの株から吹き飛ばし、皿で受ける」とされている。
原理
送風
↓
成虫・幼虫をジャガイモ株から吹き飛ばす
↓
下部または側方の皿で捕集する
位置づけ
このページではメーカー名までは明記されていない。ただし、記述内容から見ると、後述する Bio-Collector 系のような送風・吸引式または送風・受け皿式の機械である可能性が高い。
4.2 Bio-Collector / Bio-Collector 2
風式コロラドハムシ捕虫器として、文献・資料上で比較的よく確認できる名称が Bio-Collector である。
ドイツ語資料では、Bio-Collector はコロラドハムシを集めるための機械として紹介されており、基本原理は以下のように説明されている。
- コロラドハムシおよび幼虫を吹き飛ばす
- 植物損傷は少ないとされる
- 吹き飛ばした虫を受け皿・捕集パンへ吸引する
- 2条式および4条式がある
- 海外ではさらに大型の仕様もある
- フロントローダまたはフロント油圧に装着
- 油圧モータで駆動
- 4条式で約1 ha/h程度の作業能率が示されている
原理
前方または側方から送風
↓
コロラドハムシ・幼虫を茎葉から吹き飛ばす
↓
吸引流で受け皿・捕集パンに導く
↓
容器を外して虫を処分する
工学的特徴
Bio-Collector は、単なる「吹き飛ばし」ではなく、吹き飛ばし+吸引捕集の複合型と考えられる。
この構成では、送風だけで虫を落とすよりも、虫の移動方向を制御しやすい。さらに、受け皿に吸い込むことで、地面に落ちた幼虫が再び株に登るリスクを低減できる。
一方で、ファン、ダクト、受け皿、吸引系統が必要になるため、機械構造はパドル式より複雑になりやすい。
4.3 Université Laval の空気式試作機
カナダの Université Laval では、コロラドハムシ防除用の4条用空気式試作機が開発・試験されている。
この試作機は、トラクター PTO で遠心ファンを駆動し、各条のブロワユニットへ送風する。成虫・幼虫は空気流でジャガイモ茎葉から離脱し、メッシュスクリーンなどに衝突して畝間へ落下する。その後、後方の車輪で圧殺する考え方である。
原理
トラクターPTO
↓
遠心ファン
↓
ダクト・ホース
↓
各条のブロワユニット
↓
横向き気流でハムシ・幼虫を吹き飛ばす
↓
スクリーンに衝突させる
↓
畝間に落下
↓
後方の車輪で圧殺する
試験結果の概要
報告では、以下のような条件が検討されている。
- 気流速度:45, 50, 55 m/s
- 走行速度:5, 6 km/h
- 対象:幼虫のステージ L1-L2、L3-L4
- 作物への影響:草丈、乾物率、LAI、収量など
主な結果として、若齢幼虫 L1-L2 は多くの条件で90%以上除去され、L3-L4幼虫では走行速度6 km/hで最大96%の除去率が報告されている。また、作物生育や塊茎収量への大きな悪影響は見られなかったとされる。
ただし、落下した虫を後方車輪で確実に圧殺する部分には課題があり、車輪荷重の増加や別の処理機構の導入が必要と述べられている。
4.4 Urmia University / Sadeed Niroo Company の pneumatic-thermal machine
イランの Urmia University では、空気式と熱処理を組み合わせた pneumatic-thermal machine が設計され、Sadeed Niroo Company によって製作された。
この機械は、4条用のトラクター装着式で、4台の遠心ファンとプロパンバーナーを組み合わせている。
原理
トラクターPTO
↓
遠心ファンを駆動
↓
気流で成虫・幼虫を株から吹き飛ばす
↓
虫を畝間の地表へ落とす
↓
プロパンバーナーで火炎処理する
構成
- 4条用トラクター装着式
- 3点リンク装着
- PTO駆動
- 4台の遠心ファン
- プロパンバーナー
- 地表の虫を火炎処理するためのシールド付き構造
試験結果の概要
報告では、PTO 540 rpm の条件で、ダクト出口の最大風速は 29.33 m/s とされている。この条件で、成虫の離脱率は約95%、幼虫の離脱率は約85%と推定されている。
また、地上速度5 km/hの条件で、1時間あたり約0.5 haを処理でき、プロパン消費量は約21 kg/haと計算されている。
この方式は、捕集して持ち出すというより、風で落として、その場で熱処理する方式である。
5. 風式とパドル式の比較
| 項目 | 風式 | パドル式 |
|---|---|---|
| 虫を離脱させる力 | 空気抵抗、送風、吸引 | 接触、打撃、振動 |
| 作物との接触 | 少ない傾向 | あり |
| 構造 | ファン、ダクト、フード、受け皿、吸引部 | ロータ、パドル、受け皿 |
| 動力 | 比較的大きい | 風式より小さい場合が多い |
| 効果を左右する要因 | 風速、風向、フード形状、虫の位置、茎葉密度 | パドル回転数、接触強さ、茎葉構造 |
| 捕集後処理 | 捕集、圧殺、火炎処理など多様 | 主に受け皿へ捕集 |
| 課題 | 高風速、動力消費、葉損傷、捕集漏れ | 茎葉損傷、品種差、益虫混入 |
6. 風式の長所
6.1 作物への直接接触が少ない
風で虫を吹き飛ばすため、パドルで茎葉を直接叩く方式よりも、機械的接触は少ない。
ただし、強風そのものが葉を損傷する可能性はある。
6.2 虫の行動を利用できる
コロラドハムシは、外乱を受けると落下する性質がある。風式はこの性質を利用し、葉上からの離脱を促す。
6.3 捕集・圧殺・火炎処理と組み合わせやすい
空気流で虫の移動方向を制御できれば、以下のような処理と組み合わせられる。
- 受け皿で回収
- 吸引して容器に捕集
- 地面に落として車輪で圧殺
- 地表に落として火炎処理
7. 風式の課題
7.1 高い気流速度が必要
成虫や大型幼虫は葉にしがみつくため、確実に離脱させるには高い気流速度が必要になる。
その結果、以下の問題が起こりうる。
- ファン動力が大きくなる
- 燃料消費が増える
- 葉や茎が損傷する
- 土や葉片を巻き上げる
7.2 捕集漏れ
虫を吹き飛ばしても、受け皿や吸引口に入らなければ、防除効果は下がる。
特に幼虫が地面に落ちるだけの場合、再び株に登る可能性がある。そのため、単なる離脱率だけでなく、最終的な捕集率または殺虫率を見る必要がある。
7.3 茎葉構造への依存
茎葉が密な品種、葉が大きい品種、倒伏気味の圃場では、気流が内部まで届きにくい可能性がある。
7.4 益虫・非標的昆虫への影響
風式は虫種を識別しないため、コロラドハムシ以外の昆虫も吹き飛ばしたり吸引したりする可能性がある。
7.5 機械が大型化しやすい
風式では、ファン、ダクト、フード、吸引系、受け皿、処理装置などが必要になる。したがって、単純な手押しパドル式よりも機械が大型化しやすい。
8. 工学的な改良方向
風式捕虫器を実用化するには、以下のような改良が重要になる。
8.1 送風と吸引の組み合わせ
吹くだけでは虫が散らばるため、送風側と吸引側を組み合わせることで、虫を一定方向に誘導しやすくなる。
送風ノズル → ジャガイモ茎葉 → 吸引フード → 捕集容器
8.2 フード形状の最適化
気流が逃げないようにフードで囲うと、必要風速を下げられる可能性がある。畝形状や株高に合わせたフード設計が重要である。
8.3 スクリーン・受け皿の形状改善
虫が衝突して落下するスクリーンや、受け皿の角度・位置を最適化することで、捕集漏れを減らせる。
8.4 圧殺・火炎処理の信頼性向上
地面に落とす方式では、落下後の処理が重要である。
- 車輪荷重を増やす
- ゴムローラやブラシローラを使う
- 火炎処理範囲を正確に制御する
- 作物に熱が当たらないようシールドする
8.5 低風速化
強風は作物損傷と動力消費を増やすため、低風速でも虫を離脱させる工夫が重要である。
例:
- 軽い振動と送風を組み合わせる
- ブラシで軽く葉を揺らしてから吸引する
- 虫の落下行動を誘発する刺激を与える
- フード内の局所風速を高める
9. 日本で考える場合の示唆
日本で同様の機械を考える場合、単に欧州・北米の風式機械を導入するだけでなく、以下の点を考慮する必要がある。
- ジャガイモの栽培様式
- 畝幅、株間、条間
- 圃場区画の大きさ
- 小型トラクターへの適合性
- 有機栽培圃場での需要
- 益虫への影響
- 日本で問題となる害虫種への応用可能性
- 小型・軽量な手押し機として成立するか
- ファン騒音や粉塵の問題
特に日本では、小区画圃場や中山間地も多いため、大型の4条式よりも、1条または2条の小型風式捕虫器の方が現実的な可能性がある。
10. まとめ
風式のコロラドハムシ捕虫器は、空気流で成虫・幼虫をジャガイモ茎葉から離脱させる機械的防除装置である。
代表的な事例としては、ドイツの Bio-Collector / Bio-Collector 2、Paartal Biohof のような農場で使われる吹き飛ばし・受け皿式の捕集機、カナダ Université Laval の空気式試作機、イラン Urmia University / Sadeed Niroo Company の空気・火炎複合式試作機がある。
風式は、パドル式に比べて作物への直接接触が少ないという利点がある。一方で、高い気流速度、動力消費、捕集漏れ、葉の損傷、益虫混入、機械の大型化といった課題も大きい。
実用上は、単純に「吹き飛ばす」だけでなく、送風+吸引、送風+受け皿、送風+圧殺、送風+火炎処理のように、虫を離脱させた後の処理まで含めたシステム設計が重要である。
参考URL
-
Paartal Biohof: Kartoffelanbau
https://www.gutekartoffeln.de/kartoffelanbau/ -
BLE / Oekolandbau.de 資料: Pflanzenschutz im Öko-Landbau
https://www.yumpu.com/de/document/view/24901548/pflanzenschutz-im-ako-oekolandbaude -
Bio-Collector についての資料断片
https://www.yumpu.com/de/document/view/10496897/biologisch-innovativ-originell-institut-fur-okologischen-landbau- -
Université Laval 試作機: Field Evaluation of a Pneumatic Prototype Machine Designed to Control the Colorado Potato Beetle in Potato Crops
https://thescipub.com/pdf/ajabssp.2022.98.106.pdf -
Urmia University / Sadeed Niroo Company: Design and Construction of a Pneumatic-thermal Machine for Controlling Colorado Potato Beetle
https://scialert.net/fulltext/?doi=jas.2006.919.925 -
AGRIS: Evaluation of pneumatic bio-collector and thermal propane flamer for the control of Colorado potato beetle
https://agris.fao.org/search/en/providers/122644/records/64775d2a5eb437ddff7709ac -
Springer: Pneumatic Control of Colorado Potato Beetle
https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-3-662-04584-8_20