農業機械の進化について

日本の北海道では冬小麦収穫作業もだんだんと終了し始め,いよいよ収穫の秋到来だ.今年も某社は某西独製のコンバインを持ってきたり,他の某社はロータリーコンバインを持ってきたりしている.コンバインも群雄割拠の時代だ.

筆者は数年前最新型緑色のロータリーコンバインで冬小麦の収穫作業を3日ほど行わせてもらったことがある.アメリカでいうとクラス7のコンバインでそれほどエンジン馬力は大きくないが,ユーザーエスクペリエンス(UX)は素晴らしく使い勝手がよい機械のように感じた. 現在の各所の状態はモニターですべて管理され,対話的に各所を調整可能であるため,機械を使用する「気軽さ」が段違いである. あれをするのにあれをして,でもそれをするためにはそれをして,という一連の複雑なプロセスが隠蔽化されたソフトウェア,レイアウトであるため使いやすくなると感じた. 緑鹿のメーカーが2000年前後に発表した初めてのロータリーコンバインで毎年収穫作業も行っているが,基本的な機構コンセプトが変化していないことについても特筆すべきと感じた. ウォーカーコンバインと比較するとメンテナンス性は段違いで機構部分も少ないため各所の構造が理解しやすく,視認性も大きい.これは20年前も今も同じ哲学で機構が設計されているためであると思う. 最新型はUXを高めオペレータのストレスを軽減し,機構的な部分を大型化,あるいはマイナーチェンジを行うことで処理量を増し,20年間で根本は同じ大木が上に横に大きく成長した印象だった.

さて,このような農業機械の進化はコンバインに限らず,トラクターや様々な機械で見られる現象だ.機械のカテゴリによっては進化の程度が遅いものもあるけれど,例外なく過去の問題や使いにくいと感じてきた部分を科学と努力で削減してきた印象だ. 年々厳しくなる排ガス規制に縛られながら開発しなければならない大型のエンジン,絶えず土の粒子で研磨されるプラウシェアの耐摩耗性の向上などである.このようないわゆる「ハードウェア」の改良・発展も行われていれば,「ソフトウェア」の進化も行われている.前述のコンバインのUXの向上などである. 近年の農業機械開発のトレンドはまさに後者であり,「データ化」「精密化」「効率化」がトレンドであるように思う.私自身もこのキーワードの中で生活してきたが,確かにこの部分での開発項目も重要であるし,達成された時の農業者への恩恵はとても大きい. しかし,このようなソフトウェアだけにフォーカスするべきではないと同時に考える. なぜならハードウェア部分での未解決問題もたくさん,山のように存在するからだ. それは例えば倒伏した麦を効率的に収穫する方法であったり,残渣が詰まりにくい方向で耕起刷る方法などの作業方法も含まれるし,その場反転プラウや